ホンダナビアプリの小ネタ集

ホンダナビアプリとは

2016年発売のアコードに設定されたメーカーオプションナビを皮切りに、ホンダのメーカーオプションナビに搭載されるようになったナビアプリです。2023年からはディーラーオプションナビ「Gathers」にも搭載されはじめました。これらのナビはAndroidベースなので、このナビアプリもAndroidアプリとして開発されています。

このナビアプリはホーム画面上に「ナビ」と表示され、特に固有の名称はつけられていないので、本稿では「ホンダナビアプリ」と呼ぶことにします。

これまでのホンダ車のメーカーオプションナビは、ナビ本体の製造メーカーによって異なるナビソフトと地図データを採用していましたが、ホンダナビアプリの導入により、製造メーカーに関係なく統一されたナビソフトと地図データが使用されるようになりました。

アプリのパッケージ名がcom.zdc.navigationであることからわかるように、開発元はゼンリンコムデータで、地図データはゼンリンのものを使用しています。地図表示や音声案内は、同じくゼンリンの地図データを採用しているパナソニックやクラリオンのナビに雰囲気が近いです。

搭載されているナビの機種によりバージョンが異なり、筆者は3つの系統を確認していますが、どの系統も共通の地図データを使用しており、サポート期間延長やメンテナンス性向上に寄与していると思われます。本稿では、これらの系統を「Ver.1系」「Ver.2/Ver.3系」「Ver.4系」と称します。

2023年発売の10代目アコード以降に搭載されている『Google搭載ホンダコネクトディスプレイ』では、ナビアプリがGoogleマップに置き換えられたので、ホンダナビアプリは搭載されなくなりました。当該ナビではFM-VICSとETC 2.0路側機からの情報受信機能1が廃止されています。

探索

インターナビまたはホンダコネクト対応車種の場合、ルート探索は100%サーバールートで行われ、サーバーからダウンロードしたルートで案内されます。

ホンダコネクト対応車種でサーバールートを利用するにはHonda Total Careプレミアムの契約が必要で、未契約の場合はプリインストール地図データによるルート探索のみとなります。サーバールートの場合は「スマート」「最速」「最速無料」「らくらく」「省燃費」「ETC割引」の6種類のルートから選べますが、未契約の場合は「推奨」と「一般優先」の2種類のみになります。

検索方法

検索方法は下記の方法が選べます。

オンライン検索はホンダコネクト対応車種でHonda Total Careプレミアム契約時のみ利用でき、施設名や住所などを自由に入力して検索できます。正確な名称でなくても、連想される単語などでも検索ができます。例えば「ドラえもん」と入力すると、『藤子・F・不二雄ミュージアム』を検索できます。検索結果は関連度の高いものが上位に表示され、以後は現在地からの距離順に表示されます。

案内

案内音声は、同じくゼンリンの地図データを採用しているパナソニック製ナビと同じ音声です。好みが分かれるかもしれません。

一部の複雑な交差点ではリアル3D表示に対応してます。

交通情報

メニューからFM多重のVICS文字情報(レベル1)とVICS図形情報(レベル2)を表示できます。また、VICS交通情報(レベル3)を取得し、地図上に表示できます。

VICS図形情報

インターナビまたはHonda Total Careプレミアムの契約があればインターナビからの鮮度の高い交通情報を利用できます。設定で「フローティングカー情報提供」を「する」にしておく必要があります。

高速道路ではETC 2.0の光ビーコンからの情報も取得できます。

車種によってはディーラーオプションの『VICS光ビーコンユニット』を取り付けると一般道路の光ビーコンからの交通情報と、信号情報活用運転支援システムからの情報受信に対応します。

自動地図更新サービス

ホンダコネクト対応車種の場合、Honda Total Careプレミアムに加入すると、車載通信機(TCU)による通信によってサーバーから最新の地図データが自動でダウンロードされ、新しく開通した道路や施設の情報が地図に反映されます。

地図データは2か月に1回更新されます。配信される地図は約半年前の道路状態を反映しており、例えば2025年2月に配信される地図は2024年8月時点の道路状況を反映しています。更新によって追加された道路や施設の一部はゼンリンのウェブサイトで確認できます。

日本全国の地図をすべてダウンロードするのではなく、格子状のメッシュ単位で、現在地周辺約20キロメートルと目的地周辺約10キロメートルの地図が取得されます。走行中は進行方向の地図が随時ダウンロードされます。地図をスクロールしただけではダウンロードされません。市街地図は縮尺を詳細側にしたときに自動で取得されます。

ダウンロードされた地図はナビ本体に一時的にキャッシュされるため、圏外状態になってもしばらくは表示され続けます。ただし、キャッシュされている範囲を超えたり、圏外でルート探索を行ったりすると、プリインストール地図データに切り替わります。また、Honda Total Careプレミアムを解約すると、即座にプリインストール地図データに戻ります。

任意の場所の地図を更新する方法

自動地図更新サービスに加入している際に、任意の場所の最新地図を見たいときに地図を更新する方法です。

  1. 地図を更新したい地点まで地図をスクロールする。
  2. 地図をスクロールした状態で、メニューバーの「目的地検索」→「前回の検索地点」を選ぶ。
  3. 数秒くらい待つと、その地点の周囲約10キロメートルだけ地図が新しくなります。(cf. 更新の仕組み)

走行中の操作制限

細街路の表示

走行中は細街路が画面上から非表示になり、停車すると再度表示されます。この仕様は、一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)が定める『画像表示装置ガイドライン』で定められており、同会に加盟しているメーカーのカーナビはすべてこの仕様になっています。

①ナビゲーションの地図表示において、市街地の細街路は表示しない。ただし、運転者が注視し続ける必要が生じず、かつ、抜け道探索につながらない以下の場合についてはこの限りでない。
・道路ネットワーク上の重要な道路、経路設定・選択された道路は走行中の表示を可とする。
・縮尺1/20,000より詳細な地図においては、細街路走行中、細街路の表示を可とする。ただし、手動スクロール操作(容易な操作に改良したものを含む)を行った場合は、細街路の表示を禁止する。
・縮尺 1/5,000 および、それより詳細な地図においては、走行中、細街路の表示を可とする。ただし、手動スクロール操作(容易な操作に改良したものを含む)を行った場合は、細街路の表示を禁止する。

一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)『画像表示装置の取り扱いについて 改訂第3.0版』、2004年8月18日。

細街路の表示について、ホンダナビアプリは以下のような仕様になっているようです。

高速走行中の縮尺

約85km/h以上で走行中は市街地図の表示ができません。車速が約75km/h以下になると自動的に元の縮尺に戻ります。

これはホンダのメーカーオプションナビ伝統の自主規制ですが、ホンダナビアプリがGathersにも搭載されたことで、ディーラーオプションナビにも適用されるようになりました。

ホンダナビアプリのバージョン

搭載されているホンダナビアプリのバージョンは、ナビメニュー→情報→バージョン情報→システムバージョンで確認できます。例えば「3.00.XXXX」と表示されればVer.3系ということです。

Ver.1系

2016年発売のフリードのメーカーオプションナビ(ホンダウェブサイトより)

2016年に発売されたアコードのメーカーオプションナビを皮切りに、2020年までの一部メーカーオプションナビや、S660専用のディーラーオプションナビ『VXU-192SSi』にインストールされています。

地図更新はディーラーでのUSBによる更新が必要です。

地図バージョンはVer.21シリーズです。本稿執筆時点で『VXU-192SSi』のみ地図更新のサポートが終了しています。

Ver.2・Ver.3系

ホンダコネクトディスプレイ上で動作するホンダナビアプリ

Honda eに初めて搭載された『ワイドスクリーン ホンダコネクトディスプレイ』を皮切りに、Google搭載モデルを除くすべてのホンダコネクトディスプレイにインストールされています。

Honda e以外のモデルでは、自動地図更新サービスに対応しており、Honda Total Careに加入していればTCU(車載通信機)を通じて地図データが自動的に更新されます。未加入の場合は、ナビに内蔵された地図データのみの利用となります。Honda eのみ自動更新に対応しておらず、ディーラーでのUSBによる更新が必要です。

地図バージョンはHonda eはVer.22シリーズ、Honda e以外はVer.23シリーズです。

発売当初は走行中に再起動する、フリーズする、海の上を走る、地図表示が真っ白になるなど多くのバグが報告されましたが、ソフトウェアアップデートにより改善されています。

Ver.4系

LXM-247VFLi(三菱電機製)で動作するホンダナビアプリ

2023年から2025年に発売されたディーラーオプションナビ(Gathers)に搭載されています。

踏切案内やオーディオとの2画面表示など、Ver.3系までのホンダナビアプリで不足していた機能が数多く追加され、市販ナビと比べても遜色のないレベルにまで進化しています。

ホンダコネクト対応車種の場合は自動地図更新サービスに対応しています。それ以外の車種は、これまで通りディーラーで更新を行います。いずれの場合も、使用される地図データは同一です。地図バージョンはVer.G01シリーズで、更新情報が掲載されているサイトが同じことから中身はVer.23シリーズと同等と考えられます。

Ver.4系の追加機能

Ver.5系(仮)

従来モデル(Ver.4系)と新モデル(Ver.5系?)の比較画像(ホンダアクセスのウェブサイトより)

2026年発売のディーラーオプションナビ(Gathers)に搭載されています。

ステータスバーの縦幅が縮小され、地図が表示できる領域が広がりました。地図の配色も見直され、スマートフォンの地図アプリのようなモダンな色使いになっています。ルート探索後のルート選択UIも刷新されています。

Ver.5系の追加機能

参考情報

日産のリーフ(ZE2型)とキックス(P16型)にメーカーオプション設定されている「NissanConnectインフォテインメントシステム[シンプル]」には、ホンダナビアプリと同じシステムを使用していると思われる『ナビゲーション by ZENRIN』というナビアプリが搭載されています。UIはNissanConnectシステムの世界観に合わせて微調整されていますが、地図のデザインや設定画面で設定できる項目はホンダナビアプリとほぼ同じです。

  1. ETC 2.0路側機から情報を受信することはできませんが、走行情報などのアップリンクはできます。 ↩︎