プレミアムオーディオでApple Musicをいい音で聴く

ヴェゼルのプレミアムオーディオでサブスク音源をいい音を聴くTipsです。

概要

プレミアムオーディオ付きのヴェゼルe:HEVに乗っています。普段はワイヤレスCarPlayで音楽を聴いていますが、高速走行などで音量を上げると、高音域がややこもっているように感じられました。

そこでUSBケーブルで有線接続に切り替えてみたところ、俺の耳でもわかるくらいには音質が改善されたので、有線接続とワイヤレス接続の音質の違いについて、主観と客観の両方の視点から比較したいと思いました。ヴェゼルe:HEVのホンダコネクトディスプレイとiPhoneを接続する方法は3通りあるので、それぞれの方法での音質の違いを比較します。

  1. 有線CarPlay(USB経由でiPhoneと接続)
  2. ワイヤレスCarPlay(Wi-Fi経由でiPhoneと接続)
  3. Bluetoothオーディオ(BluetoothオーディオデバイスとしてiPhoneと接続)

主観的な検証

俺氏(30歳・独身男性)の耳によれば、有線CarPlay>>ワイヤレスCarPlay>>>>Bluetoothオーディオの順に音がいいようです。

ちなみに聴いた曲はyosugalaの『何億分の1を』とファーストプレイリストの『純情コンチェルト』です。どちらの曲もロスレスオーディオをオンにすると44.1kHz/16bitで利用できます。人気のない駐車場で音量を15まで上げて検証しました。

客観的な検証

3つの接続方法による音質の違いを、iPhoneとホンダコネクトディスプレイの間でやりとりされる情報の中身から紐解いていきます。

有線CarPlayの場合

有線CarPlayではオーディオは48kHz/16bitのリニアPCM信号として入力されます1。有線CarPlayとして接続されたときにiPhone側のシステムログに以下の出力がされることからわかります。

HALCarAudioDevice-AudioMain Selecting default format for type atme(media): APCarPlayAudioFormatInfo: MainAudio/media, PCM,  48000 Hz, 16-bit, Stereo, Swapped, 0x00008000, IL = 1536 samples, OL = 3216 samples, JBL = 32 ms

そもそも、CarPlayの規格自体が最大48kHz/16bitにしか対応していません。なので、元の音源が48kHz/16bitの場合はビットパーフェクトが可能ですが、それ以外のフォーマットの場合はビットパーフェクトにはなりません。例えばサンプリング周波数が44.1kHzであったり、ビット深度が24bit以上であったりすると、音源はすべてiPhone側で再サンプリングされます。

ちなみに、有線CarPlayの場合、ハンズフリー通話やカーナビの案内音声もリニアPCMで伝送されます。音楽とは別のチャンネルで送信され、車載オーディオ側でミキシングされます2。

ワイヤレスCarPlayの場合

ワイヤレスCarPlayの場合、オーディオはiPhone側でAACに変換されてから入力されます。ワイヤレスCarPlayとして接続されたときのシステムログの出力は下記のとおりです。

HALCarAudioDevice-AudioMain Selecting default format for type atme(media): APCarPlayAudioFormatInfo: MainHighAudio/media, AAC,  48000 Hz, Stereo, 1024 samples/packet, 0x00800000, IL = 48000 samples, OL = 49680 samples, JBL = 1000 ms

上記のシステムログではビットレートは明示されていませんが、AirPlayの仕様から256kbpsに圧縮されていると考えられます。伝送にはWi-Fiが使用されるため、後述のBluetoothに比べて一度に伝送できるデータ量や接続安定性の面で有利になります。

ワイヤレスCarPlayの場合、ハンズフリー通話やカーナビの案内音声はOpus形式で伝送されます。車載オーディオ側が対応している場合、より音質に優れたAAC-ELD形式が利用される場合もあります。

Bluetoothオーディオの場合

ホンダコネクトディスプレイのBluetoothはAACコーデックに対応しているので、オーディオはAAC形式で入力されます3。車載オーディオ側がAACコーデックに対応していない場合、SBCコーデックでの伝送になるため音質はさらに低下します。

ビットレートは可変で、通信状況(電波強度やノイズ)に応じて変動するようです。Bluetoothオーディオ出力中にiPhone側のシステムログの出力を眺めるとA2DP LinkQualityReportからはじまるメッセージがおよそ1秒おきに出力されていますが、その中のrateという項目をみるとビットレートがわかります。今回は244kbpsから256kbpsの間で変化していました。

A2DP LinkQualityReport: Handle = 14 ReTx = 17.5% ( 11 /  63), NAK =    1, NoSync =   10, TxPwr =  5 dBm, RSSI =  -53, {50,75,90}th Noise = {-111,-110,-109} for 38 ch, 2EDR pkts =  12, 3EDRTx pkts =   0, HDR4Tx pkts =   0, HDR8Tx pkts =   0,  1SlotTx pkts =   0, 3SlotTx pkts =   0, 5SlotTx pkts =   0, CoexDenial =   0, CoexRequest =   0, 3EDRRx pkts =   0, HDR4Rx pkts =   0, HDR8Rx pkts =   0, 1SlotRx pkts =   0, 3SlotRx pkts =   0, 5SlotRx pkts =   0, TxFlush pkts =  0, Tx2Flush pkts =   0, rate = 244 kbps Flow off = 0 devicename = Honda HFT

結論

というわけで、有線CarPlayのほうが音がいいのは音質が劣化しないリニアPCM伝送だからでした。

車の乗り降りのたびにUSBケーブルを抜き差しするのは手間がかかるため、普段使いにはワイヤレスCarPlayのほうが便利です。一方で長時間のドライブでは、有線CarPlayのほうが音質が良く、充電も同時にできるのでいいと思いました。

今後調べたいこと

最近はハイレゾ対応の車載オーディオも増えてきているので、USB接続で48kHz/16bitを超える音声の出力ができないかを確かめてみたいです。友人にトヨタのディスプレイオーディオPlus搭載(96kHz/24bitハイレゾ対応)の車に乗っている人がいるのでそのうち試させてもらいたい。。

参考サイト

  1. Apple Inc.『Developing CarPlay Systems, Part 1』、2016年6月12日、56ページ。2026年3月30日閲覧。 ↩︎
  2. Apple Inc.『Developing CarPlay Systems, Part 1』、2016年6月12日、57ページ。2026年3月30日閲覧。 ↩︎
  3. Honda Motor Co., Ltd.『ヴェゼル ナビゲーション&オーディオ適用情報』 ↩︎