
ダイヤモンドデイズの濁点の座標はなぜズレるのか
カーナビの画面上で濁点・半濁点を含む曲名が文字化けする原因の考察です。
目次
Xのポスト
先日、あるXのポストが話題になりました。カーナビ1の画面上に表示されている、SWEET STEADYの『ダイヤモンドデイズ』という曲名に含まれる濁点が、上にズレた状態で表示されているというものです。
なぜこのような文字化けが起きるのか、本稿では、スマートフォンやカーナビの内部でどのように文字が処理されるのかより原因を考察します。
Unicodeにおける合成済み文字と結合文字
パソコンやスマートフォン、カーナビの内部では、Unicodeというルールに従って文字が扱われています。
Unicodeとは、世界中の文字をひとつの共通ルールで管理して扱えるようにした仕組みです。Unicodeでは、漢字やひらがな、アルファベットなどあらゆる文字ひとつひとつに、それぞれ固有の「コード」を割り当てています。
以下の文中でU+0000
のように表記するのがコードです。
日本語の「が」や「ぱ」などの濁点や半濁点のついた文字は、Unicodeでは2通りの方法で表すことができます。
合成済み文字方式による表現
合成済み文字方式は、清音に濁点・半濁点を含んだ状態の文字をひとつのコードで扱う方法です。
例えば「か」U+304B
に濁点を付けた「が」U+304C
、「は」U+306F
に濁点・半濁点を付けた「ば」U+3070
と「ぱ」U+3071
には、それぞれ単独のコードが割り当てられており1文字として扱われています。
普段我々がパソコンやスマートフォンで入力した文字は、合成済み文字として入力されています。
結合文字方式による表現
結合文字方式は、清音に濁点・半濁点を表す文字を後ろからくっつけて(結合して)文字を表現する方法です。
例えば「か」U+304B
という文字に、後ろから濁点「 ゙」U+3099
を結合すると、「が」U+304B U+3099
になります。合成済み文字の「が」U+304C
と見た目は同じですが、内部では2つの文字を1文字として表示している状態になります。
2つ以上の文字を組み合わせて1文字にすることができるのはユニコードの大きな特徴ですが、一部のスマートフォンやカーナビはこの結合文字による表現に対応しておらず、文字化けを引き起こす原因になります。
macOSは、ファイル名を結合文字方式で管理しています(NFD正規化)。そもそも、濁点や半濁点を結合文字として扱っているのはmacOSくらいなので、これが各所で文字化けや表示不良を引き起しているのだと思います。
文字化けの原因
レコード会社の担当者が、Apple Music(などのストリーミングサービス)に曲をアップロードするときに、macOSのFinderから曲名をコピー&ペーストしたと考えられます。macOSはファイル名の濁点を結合文字方式で扱うため、公開された曲名がそのまま結合文字を含んでしまい、結合文字に対応していないカーナビで濁点の表示不良が発生したものと思われます。
実際にApple Musicで公開されている『ダイヤモンドデイズ』の曲名を、ユニコードのコードポイントを確認できるCotEditorにペーストしてから文字情報を表示すると「2字から成る文字」U+30BF U+3099
と表示され、結合文字方式で保持されていることがわかります。これがカーナビ上で文字化けを引き起こす原因です。

ちなみにほかのアイドルグループになりますが、ideal pecoの『100点の私で会いに行こう』や、夜光性アミューズの『まっしぐら恋心』も結合文字で表現されているので、同様にカーナビ上で文字化けします。そして、結合文字になった理由もおそらく同じでしょう。
ちなみに、当方所有のVEZEL e:HEVのディスプレイオーディオでは文字化けが起きませんでしたが、メーターの曲名表示は濁点が「・」になっていました。

まとめ
ということで文字化けの原因は濁点を表記する方法の違いによるものでした。
今回の件ですいすての曲をいろいろ聴きましたがいいですね。きゃんちゅー、ふるっぱー、きゅーすとの曲は聴きまくっていますが、すいすてだけは完全未履修でしたので。メンバーの中では奥田彩友さんがかわいいと思いました。クールに見えて実は声がかわいいのと、背が高いのがいいと思いました。
参考サイト
- 元ネタXのポスト
- Ken Whistler『UAX #15: Unicode Normalization Forms』、2024年8月14日。
- Wikipediaの『Unicode正規化』『結合文字』『合成済み文字』の項
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